ピルの副効用

ピルの継続服用は、避妊として女性が自分で自分の体を守れる一番安全で確実な方法です。

ただ、避妊以外にも重要な効能があります。

月経困難症(生理痛)

現在、出産可能年齢の日本女性の鎮痛剤を必要とする生理痛で悩んでいる人数は、およそ100万人と言われています。
昔は、痛みは我慢するものだったり、生理休暇という扱いもありましたが、海外先進国では自己管理不足と評価されてしまいます。
現代の女性において、出産年齢も遅くなっている現状から考えてもピルの継続服用により出血量を減らし、痛みから解放させるピルの効能は必要不可欠だと思われます。

月経(生理)不順

一般の女性の月経周期は28日~30日と言われています。25日以内で月経が来たり、40日過ぎても月経が来ない場合は月経不順であり、何らかの原因を考えなければならないでしょう。
月経不順の原因として、ストレスや環境変化に伴うものが多いですが、脳下垂体や卵巣の疾患が要因になる場合もあります。
上記要因で排卵が上手くされないことで周期が不安定になり、今すぐ妊娠希望の女性は積極的な治療が必要になります。
今すぐ妊娠希望のない女性は、継続した低用量ピルの服用により周期もホルモンバランスも安定させることが出来ます。
軽い卵巣機能不全ならピルで周期をつくって止めた後、自然に順調になることもありますが、重度の排卵障害などはピル服用後、また元の不順に戻ることが予測されます。
ただ、排卵させる周期をつくることはあくまでも妊娠させる治療になるので、妊娠を心から望む環境になるまでピルを中断する必要はありません。

子宮内膜症

現代の女性は、出産経験年齢が遅くなり、出産回数が減っています。つまり、自然な月経を繰り返す回数が子供を多く産んでいた時代の女性と大きく異なり、増えています。その結果、出血の量と回数に比例して子宮内膜症を発症するリスクも増えていると考えられています。
ピルの継続服用は、人工的に子宮内膜を薄くし、出血量を減らす作用があるため、子宮内膜症になりにくくすることが可能です。また、内膜症になった方がピルを服用することで、根治治療は出来ないものの、進行は抑制し、病状を改善させることが可能です。
欧米先進国では、以前より、子宮内膜症に対し特に若い未婚女性にはピルが第一選択でしたが、日本では、やっとこの数年、第一選択として考えられるようになってきました。
病気は本来なってから治すという概念ですが、今後は、ピルで子宮内膜症から守り、妊娠しやすい子宮と卵巣の環境を維持するという予防医療という方向に向かえば救われる女性ももっと増えると思います。

月経前症候群(PMS)

排卵終了後、月経が開始する時期に、精神不安定になったり、頭痛、腹痛などの症状が出る総称を月経前症候群と言います。
原因も不明であり治療法も確立されていない中で、低用量ピル継続服用により排卵を抑制しホルモン変動を一定化させることで体調が改善する方が多くいます。
欧米先進国では、効能効果に月経前症候群の改善が挙げられているピルもあります。
日本では、効能として承認されていませんが、応用としてピルを使用し、それでも改善が乏しい場合は、抗鬱剤や漢方薬を併用する治療もあります。

大人ニキビ

大人ニキビの原因はいろいろ考えられますが、特に女性の場合は男性ホルモン活性が優位に働くことが要因と思われます。月経周期、特に月経前の黄体期に男性ホルモン活性が優位になりやすく皮脂の分泌が活発化し、いわゆるUゾーン部分に大人ニキビとして出てきます。
悪化するとデコルテ(胸部全面)や背中にもニキビとして出てくることあり、再発性も高く治りにくい特徴があります。

通常の抗生剤内服、抗生剤外用剤塗布、ビタミン類摂取、漢方薬内服、などの治療で全く改善しなかった方々において、低用量ピルとスピロノラクトン併用療法が有効な場合があります。ピルだけでも充分改善する方もいますが、3か月程度で改善しない場合は、スピロノラクトンを併用したほうが効果的です。スピロノラクトンの用量は個人差もあるため、症状を見ながら投薬量の増減を行います。

どこの婦人科でも対応できるわけではないので、事前に対応できる婦人科を調べてから受診されることをお勧めします。